【公認会計士試験・英語出題】その他有価証券評価差額金とは?時価評価・税効果会計・OCIを英文で学ぶ

その他有価証券評価差額金 財務会計論10 - 純資産

1. その他有価証券評価差額金(Valuation Difference on Other Securities)とは

その他有価証券評価差額金とは、その他有価証券を時価評価した際に生じる評価差額について、税効果会計を適用した後の金額を純資産の部に計上する項目です。

日本基準では、その他有価証券は原則として期末時点の時価で貸借対照表に計上します。ただし、その評価差額を直ちに当期純利益または当期純損失に反映させるのではなく、原則として純資産の部に計上します。

例えば、会社が保有する株式の取得原価が1,000万円で、期末時価が1,200万円になった場合、評価差額は200万円です。

この200万円は、原則として損益計算書の利益には含めず、税効果会計を適用したうえで純資産に計上します。

会計英語

Valuation differences on other securities are generally recognized in net assets rather than in profit or loss under Japanese GAAP.

日本基準では、その他有価証券の評価差額は、一般に損益ではなく純資産に認識されます。

重要単語:

  • valuation difference:評価差額
  • other securities:その他有価証券
  • recognize:認識する
  • net assets:純資産
  • profit or loss:損益
  • rather than:~ではなく

文法ポイント:

A rather than B は「BではなくA」という意味です。

この英文では、評価差額の認識先が損益ではなく純資産であることを対比しています。

なお、ここでいう net assets は日本基準の貸借対照表における「純資産」を指しています。IFRSの財務諸表では、通常、equity という用語を使用します。

2. その他有価証券とは何か

有価証券は、保有目的などに応じて分類されます。

日本基準では、主に次の4つに分類されます。

区分英語基本的な会計処理
売買目的有価証券Securities Held for Trading時価評価し、評価差額を損益に計上
満期保有目的の債券Bonds Held to Maturity原則として償却原価法
子会社株式・関連会社株式Shares in Subsidiaries and Associates取得原価
その他有価証券Other Securities時価評価し、評価差額は原則として純資産に計上

その他有価証券とは、売買目的有価証券、満期保有目的の債券、子会社株式および関連会社株式のいずれにも該当しない有価証券です。

例えば、次のような有価証券が該当することがあります。

  • 長期的な資産運用を目的として保有する上場株式
  • 取引先との関係維持や業務提携などを目的として保有する株式
  • 売買目的ではない投資有価証券

その他有価証券は、保有目的が一義的に定めにくい多様な有価証券を含む分類です。

会計英語

Other securities include financial assets that are not classified as securities held for trading, bonds held to maturity, or investments in subsidiaries and associates.

その他有価証券には、売買目的有価証券、満期保有目的の債券、子会社および関連会社への投資に分類されない金融資産が含まれます。

重要単語:

  • include:含む
  • financial assets:金融資産
  • classify:分類する
  • investments in subsidiaries:子会社への投資
  • associates:関連会社

文法ポイント:

that are not classified as ... は関係代名詞 that 以下が financial assets を修飾しています。

be classified as ... は「~に分類される」という意味の受動態です。

3. その他有価証券の時価評価

その他有価証券は、原則として期末時点の時価で評価します。

評価差額は、次の計算式で求められます。

評価差額 = 期末時価 − 取得原価

例えば、次のようなケースを考えます。

項目金額
取得原価10,000,000円
期末時価12,000,000円
評価差額2,000,000円

この場合、2,000,000円の評価益が発生します。

日本基準では、その他有価証券の評価差額について、次の2つの方法が認められています。

3-1. 全部純資産直入法(Full Net Asset Method)

全部純資産直入法では、評価益と評価損の両方を純資産に計上します。

例えば、A社株式の評価益が200万円、B社株式の評価損が50万円の場合、評価差額の合計額150万円を純資産に計上します。

つまり、個々の銘柄ごとの評価益・評価損を相殺した合計額を純資産に反映する方法です。

3-2. 部分純資産直入法(Partial Net Asset Method)

部分純資産直入法では、時価が取得原価を上回る銘柄の評価益は純資産に計上し、時価が取得原価を下回る銘柄の評価損は当期の損失として処理します。

例えば、次のようなケースです。

銘柄評価差額会計処理
A社株式+2,000,000円純資産に計上
B社株式△500,000円当期の損失に計上

全部純資産直入法と部分純資産直入法では、評価損の処理が異なります。

公認会計士試験では、どちらの方法が適用されているかを問題文で確認することが重要です。

会計英語

Under the full net asset method, both unrealized gains and unrealized losses are recognized directly in net assets.

全部純資産直入法では、未実現利益と未実現損失の両方が純資産に直接認識されます。

重要単語:

  • full net asset method:全部純資産直入法
  • unrealized gain:未実現利益、評価益
  • unrealized loss:未実現損失、評価損
  • directly:直接
  • recognize:認識する

文法ポイント:

both A and B は「AとBの両方」という意味です。

are recognized は受動態で、「認識される」という意味です。

4. 税効果会計(Tax Effect Accounting)

その他有価証券の評価差額を純資産に計上する場合、税効果会計を適用する必要があります。

なぜなら、会計上は時価評価による評価差額を認識していても、税務上は売却するまで課税所得に反映されないなど、会計上の帳簿価額と税務上の金額に差異が生じるためです。

このような差異は一時差異(Temporary Differences)に該当します。

4-1. 評価益が生じた場合

その他有価証券に評価益が生じた場合、会計上の帳簿価額は税務上の帳簿価額を上回ることがあります。

この場合、将来加算一時差異(Taxable Temporary Difference)が生じ、原則として繰延税金負債(Deferred Tax Liabilities)を計上します。

例えば、次の条件を考えます。

項目金額
取得原価10,000,000円
期末時価12,000,000円
評価益2,000,000円
法定実効税率(仮定)30%
繰延税金負債600,000円
税効果考慮後の評価差額1,400,000円

計算式は次のとおりです。

評価差額:2,000,000円

繰延税金負債:2,000,000円 × 30% = 600,000円

その他有価証券評価差額金:2,000,000円 − 600,000円 = 1,400,000円

このように、税効果会計を適用した後の金額が純資産に計上されます。

4-2. 仕訳例

税効果会計を含めた仕訳の考え方は、次のようになります。

① 時価評価による評価益の計上

(借方)投資有価証券 2,000,000円
(貸方)その他有価証券評価差額金 2,000,000円

② 税効果会計の適用

(借方)その他有価証券評価差額金 600,000円
(貸方)繰延税金負債 600,000円

結果として、純資産には税効果考慮後の1,400,000円が計上されます。

4-3. 評価損が生じた場合

反対に、その他有価証券に評価損が生じた場合には、会計上の帳簿価額が税務上の帳簿価額を下回ることがあります。

この場合、将来減算一時差異(Deductible Temporary Difference)が生じ、繰延税金資産(Deferred Tax Assets)の計上を検討します。

ただし、繰延税金資産は、将来の税金負担を軽減できると見込まれる範囲で認識する必要があります。したがって、評価損が発生したからといって、必ず税効果相当額の繰延税金資産を計上できるわけではありません。

会計英語

A deferred tax liability is recognized when a taxable temporary difference arises from an unrealized gain on other securities.

その他有価証券の未実現利益から将来加算一時差異が生じる場合、繰延税金負債が認識されます。

重要単語:

  • deferred tax liability:繰延税金負債
  • taxable temporary difference:将来加算一時差異
  • arise from:~から生じる
  • unrealized gain:未実現利益
  • other securities:その他有価証券

文法ポイント:

when は「~するとき」「~の場合に」という条件・時を表す接続詞です。

arises from は「~から生じる」という意味です。

a temporary difference arises from ... で「一時差異が~から生じる」と表現できます。

5. その他有価証券を売却した場合

その他有価証券を売却した場合、売却価額と取得原価との差額を売却損益として当期の損益に計上します。

また、過年度に純資産に計上していた評価差額についても、売却に伴って取り崩すことになります。

このように、過去にその他の包括利益として認識した金額を、後の期間に損益へ振り替える処理を、リサイクリング(Recycling)といいます。

具体例

取得原価1,000万円の株式を1,300万円で売却した場合、売却益は300万円です。

売却前に計上されていた評価差額金や関連する税効果の取り崩しも必要です。

売却時の仕訳(一括で行う場合)

借方科目金額貸方科目金額
普通預金13,000,000円投資有価証券12,000,000円
その他有価証券評価差額金(純資産)1,400,000円投資有価証券売却益(損益)3,000,000円
繰延税金負債(負債)600,000円

会計英語

When an available-for-sale security is sold, the related accumulated valuation difference is reclassified to profit or loss under Japanese GAAP.

その他有価証券が売却された場合、関連する累積評価差額は日本基準の下で損益に振り替えられます。

重要単語:

  • available-for-sale security:売却可能有価証券
  • accumulated:累積した
  • valuation difference:評価差額
  • reclassify:振り替える、再分類する
  • profit or loss:損益

文法ポイント:

When an available-for-sale security is sold は「その他有価証券が売却された場合」という意味です。

is sold は受動態で、「売却される」を表します。

is reclassified to ... は「~に振り替えられる」という意味です。

※ここでの available-for-sale は、日本基準の「その他有価証券」の英訳として使われることがある表現です。IFRS 9では、旧IAS 39のAvailable-for-Sale(AFS)という金融資産の分類は廃止されています。

6. その他有価証券評価差額金とOCI(Other Comprehensive Income)

その他有価証券評価差額金を理解するうえで、OCI(Other Comprehensive Income:その他の包括利益)との関係も重要です。

OCIとは、当期の包括利益のうち、当期純利益を構成する損益とは別に認識される項目です。

日本基準では、連結財務諸表において、その他有価証券評価差額金の当期変動額は、その他の包括利益として表示されます。

一方、その他有価証券評価差額金は、過年度から累積した評価差額を含む純資産の項目です。

したがって、次のように区別して理解しましょう。

用語意味
OCI当期に発生したその他の包括利益
Accumulated OCI(AOCI)過年度から累積したその他の包括利益
その他有価証券評価差額金日本基準におけるその他有価証券の評価差額の累積額(税効果考慮後)

会計英語

Other comprehensive income includes items of income and expense that are recognized outside profit or loss.

その他の包括利益には、損益の外で認識される収益および費用の項目が含まれます。

重要単語:

  • other comprehensive income:その他の包括利益
  • include:含む
  • item:項目
  • income and expense:収益および費用
  • outside:~の外で
  • profit or loss:損益

文法ポイント:

that are recognized outside profit or loss は関係代名詞 that 以下が items of income and expense を修飾しています。

outside profit or loss は「損益計算書上の損益とは別に」という意味合いです。

7. IFRSとの違い:FVOCI(Fair Value Through Other Comprehensive Income)

日本基準のその他有価証券評価差額金と関連するIFRSの用語に、FVOCIがあります。

FVOCIとは、金融資産を公正価値(Fair Value)で測定し、その公正価値の変動をその他の包括利益(OCI)に認識する会計処理です。

ただし、日本基準の「その他有価証券」とIFRSの「FVOCI」は、完全に同じ分類ではありません。

IFRS 9では、金融資産の分類にあたり、事業モデル(Business Model)と契約上のキャッシュ・フローの特性を考慮します。

7-1. 債券などの負債性金融商品

一定の要件を満たす負債性金融商品は、FVOCIに分類されます。

主な要件は次のとおりです。

  • 契約上のキャッシュ・フローを回収することと、金融資産を売却することの両方を目的とする事業モデルで保有していること
  • 契約上のキャッシュ・フローが元本および利息の支払のみであること(SPPI要件)

SPPI(Solely Payments of Principal and Interest:元本及び元本残高に対する利息の支払のみ)要件とは、IFRS第9号にもとづき、金融資産の契約条件から生じるキャッシュ・フローが、基本的な貸付契約上の対価のみで構成されているかを判断するための要件です。

この場合、公正価値の変動はOCIに認識されますが、利息収益や減損損失などは損益に認識されます。

また、売却などにより金融資産の認識を中止した場合、累積したOCIは原則として損益に振り替えられます。これをリサイクリングといいます。

7-2. 株式などの資本性金融商品

IFRS 9では、売買目的で保有していない資本性金融商品について、当初認識時に、銘柄ごとに取消不能の選択を行うことでFVOCIに指定できます。

この選択をした場合、公正価値の変動はOCIに認識されます。

ただし、債券などの負債性金融商品とは異なり、売却時に累積した評価差額を損益に振り替えることはありません。

つまり、株式のFVOCI指定では、リサイクリングが禁止されています。

日本基準とIFRSの比較

項目日本基準IFRS 9
分類その他有価証券FVOCIなど
分類の考え方他の保有目的区分に該当しない有価証券事業モデルや契約上のキャッシュ・フロー特性など
評価原則として時価公正価値
評価差額原則として純資産に計上OCIに計上
売却時の処理原則として売却損益に反映負債性FVOCIはリサイクリング、資本性FVOCIはリサイクリングしない

この違いは、公認会計士試験だけでなく、外資系企業の経理やIFRS決算に携わる場合にも重要です。

会計英語

Under IFRS 9, fair value changes on certain debt instruments classified as FVOCI are subsequently reclassified to profit or loss upon derecognition.

IFRS 9では、FVOCIに分類された一定の負債性金融商品の公正価値変動は、認識中止時に損益へ振り替えられます。

重要単語:

  • fair value change:公正価値の変動
  • debt instrument:負債性金融商品
  • subsequently:その後
  • reclassify:振り替える
  • upon derecognition:認識中止時に

文法ポイント:

classified as FVOCI は過去分詞句で、debt instruments を修飾しています。

upon derecognition は「認識中止時に」という意味です。

upon + 名詞 は「~するとすぐに」「~の際に」という意味で、会計英語でよく使用されます。

8. 重要会計英単語まとめ

日本語英語
その他有価証券Other Securities
その他有価証券評価差額金Valuation Difference on Other Securities
評価差額Valuation Difference
評価益Unrealized Gain
評価損Unrealized Loss
時価Fair Value
取得原価Acquisition Cost
全部純資産直入法Full Net Asset Method
部分純資産直入法Partial Net Asset Method
税効果会計Tax Effect Accounting
一時差異Temporary Difference
将来加算一時差異Taxable Temporary Difference
将来減算一時差異Deductible Temporary Difference
繰延税金資産Deferred Tax Asset
繰延税金負債Deferred Tax Liability
その他の包括利益Other Comprehensive Income
その他の包括利益累計額Accumulated Other Comprehensive Income
リサイクリングRecycling
公正価値Fair Value
負債性金融商品Debt Instrument
資本性金融商品Equity Instrument
認識中止Derecognition

9. 理解度チェック:英文会計の確認問題

問題1

Under Japanese GAAP, how are valuation differences on other securities generally recognized?

A. In revenue
B. In profit or loss
C. In net assets
D. In liabilities

正解:C. In net assets

日本基準では、その他有価証券の評価差額は原則として税効果会計適用後の金額を純資産に計上します。

問題2

Which method recognizes both unrealized gains and unrealized losses in net assets?

A. Full net asset method
B. Partial net asset method
C. Cost method
D. Equity method

正解:A. Full net asset method

全部純資産直入法では、評価益と評価損の両方を純資産に計上します。

問題3

An unrealized gain on other securities generally gives rise to which of the following?

A. Deferred tax asset
B. Deferred tax liability
C. Accounts payable
D. Retained earnings

正解:B. Deferred tax liability

評価益によって将来加算一時差異が生じる場合、原則として繰延税金負債を認識します。

問題4

What does recycling mean in accounting?

A. Reclassifying accumulated OCI to profit or loss
B. Recording all assets at historical cost
C. Transferring liabilities to equity
D. Reversing all depreciation expenses

正解:A. Reclassifying accumulated OCI to profit or loss

リサイクリングとは、過年度にOCIとして認識した金額を、後の期間に損益へ振り替えることです。

問題5

Under IFRS 9, can cumulative fair value gains on an equity instrument designated as FVOCI be recycled to profit or loss upon disposal?

A. Yes, always
B. Yes, if the investment is sold at a profit
C. No
D. Only when the investment is held for trading

正解:C. No

IFRS 9でFVOCI指定した資本性金融商品については、売却時に累積した評価差額を損益に振り替えません。


まとめ

その他有価証券評価差額金は、その他有価証券の時価評価によって生じた評価差額を、税効果会計適用後の金額で純資産に計上する項目です。

特に重要なのは、次の5点です。

  1. その他有価証券は原則として時価評価する。
  2. 評価差額は、全部純資産直入法または部分純資産直入法によって処理する。
  3. 純資産に計上する評価差額には税効果会計を適用する。
  4. 売却時には、過年度に計上した評価差額の取扱いを確認する。
  5. IFRS 9では、負債性金融商品と資本性金融商品でFVOCIのリサイクリングの取扱いが異なる。

会計英語では、Valuation Difference、Fair Value、Deferred Tax Liability、Other Comprehensive Income、Recyclingなどの用語を、仕訳や会計処理と結び付けて覚えておきましょう。

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