【公認会計士試験・英語対策】有形固定資産の取得原価とは?直接付随費用などを解説

有形固定資産の取得原価 財務会計論07 - 固定資産

公認会計士試験の英語問題対策として、今回は「有形固定資産の取得原価の決定(Determination of the Cost of Property, Plant and Equipment)」を解説します。

有形固定資産は、企業が長期間にわたって使用する建物、機械装置、車両運搬具などの資産です。取得原価を正しく決定するためには、購入代金だけでなく、運送費や据付費などを取得原価に含めるかどうかを判断する必要があります。

この記事では、IFRSのIAS 16「有形固定資産」を中心に、取得原価に含まれる費用・含まれない費用、計算例、重要な会計英語、そして公認会計士試験を想定した英語の予想問題を紹介します。

1. 有形固定資産とは?(Property, Plant and Equipment)

有形固定資産は英語で Property, Plant and Equipment(PPE) といいます。

IAS 16では、有形固定資産について、財・サービスの生産または供給、第三者への賃貸、あるいは管理目的で保有され、複数の会計期間にわたって使用されることが期待される有形の資産と定義しています。

Property, plant and equipment are tangible items that are held for use in the production or supply of goods or services, for rental to others, or for administrative purposes, and are expected to be used during more than one period.

和訳:有形固定資産とは、生産・サービスの提供、第三者への賃貸、または管理目的で保有され、複数の会計期間にわたって使用されることが期待される有形の項目です。

代表的な例は次のとおりです。

  • Buildings:建物
  • Machinery and equipment:機械装置
  • Vehicles:車両
  • Furniture and fixtures:備品・什器
  • Land:土地

有形固定資産として認識するには、原則として、その資産に関連する将来の経済的便益が企業に流入する可能性が高く、取得原価を信頼性をもって測定できることが必要です。

2. 有形固定資産の取得原価に含まれるもの

IAS 16では、有形固定資産は当初認識時に取得原価(Cost)で測定します。取得原価には、購入代金だけでなく、資産を経営者が意図した方法で稼働できる場所・状態にするために直接帰属する支出などが含まれます。

主な項目は次のとおりです。

項目英語取扱い
購入代金Purchase price取得原価に含める
輸入関税・還付されない購入税Import duties and non-refundable purchase taxes取得原価に含める
値引き・割戻しTrade discounts and rebates購入価格から控除する
運送費・荷役費Delivery and handling costs直接帰属するものは含める
据付費・組立費Installation and assembly costs直接帰属するものは含める
試運転・性能確認の費用Testing costs所定の要件を満たすものは含める
専門家への報酬Professional fees直接帰属するものは含める

撤去・原状回復費用の当初見積額(initial estimate of dismantling and restoration costs)については、企業が資産の取得時または一定期間にわたる資産の使用に伴って撤去・原状回復義務を負う場合、その現在価値を引当金(provision)として負債に認識するとともに、同額を有形固定資産(Property, Plant and Equipment)の取得原価に加算します。なお、日本基準では、通常、引当金の代わりに、資産除去債務(asset retirement obligation)として認識します。 

重要なのは、支出が資産の取得や設置に関連しているというだけではなく、資産を意図した方法で稼働できる状態にするために直接帰属するかどうかを判断することです。

3. 取得原価に含まれない費用

一方、IAS 16では、資産を意図した方法で稼働できる状態にすることに直接必要ではない支出は、原則として取得原価に含めません。

項目英語会計処理
新しい施設の開設費用Costs of opening a new facility原則として費用処理
広告宣伝費Advertising and promotional costs費用処理
従業員の研修費Staff training costs費用処理
一般管理費General administrative overheads原則として費用処理
稼働可能な状態になった後の費用Costs incurred after the asset is ready for use原則として費用処理
当初予定した性能に達するまでの初期営業損失Initial operating losses費用処理

例えば、機械装置を導入する際に従業員向けの操作研修を実施した場合、その研修費は通常、機械装置の取得原価には含めません。機械を使用するための知識を身につける支出であっても、機械そのものを稼働可能な状態にするための直接帰属可能な支出とは区別されるためです。

また、機械が使用可能な状態になった後、実際に使用を開始するまでの期間に発生した費用や、予定した生産能力に達するまでの初期営業損失も、原則として取得原価には含まれません。

4. 有形固定資産の取得原価の計算例

ここでは、英語の計算問題でも問われやすい、取得原価に含める支出と含めない支出の判定を確認しましょう。

設例

ある企業は、製造用の機械装置を購入しました。支出の内容は次のとおりです。

  • 機械の購入代金:1,000,000円
  • 運送費:30,000円
  • 据付費:50,000円
  • 稼働状況を確認するための試運転費:20,000円
  • 従業員研修費:40,000円
  • 広告宣伝費:10,000円

なお、各金額は税金の影響を考慮しないものとし、試運転費はIAS 16の要件を満たすものとします。また、撤去・原状回復義務はないものとします。

取得原価の計算

取得原価に含まれるのは、購入代金、運送費、据付費、試運転費です。

取得原価 = 1,000,000円 + 30,000円 + 50,000円 + 20,000円

取得原価 = 1,100,000円

従業員研修費40,000円と広告宣伝費10,000円は、原則として発生した期間の費用として処理します。

このように、支出総額をそのまま取得原価とするのではなく、資産の稼働可能な状態への準備に直接帰属する支出を選別することが重要です。

5. 公認会計士試験・英語予想問題

Question

A company purchased a machine for $100,000. The company also incurred the following costs:

  • Delivery costs: $3,000
  • Installation costs: $5,000
  • Staff training costs: $4,000
  • Advertising costs for the new product: $2,000

Assuming that the delivery and installation costs are directly attributable to bringing the machine to the location and condition necessary for it to operate as intended, what is the initial cost of the machine under IAS 16?

Options

(A) $100,000

(B) $108,000

(C) $112,000

(D) $114,000

正解:(B)$108,000

解説

IAS 16では、購入代金に加え、資産を意図した方法で稼働できる状態にするための直接帰属可能な支出を取得原価に含めます。

したがって、購入代金$100,000、運送費$3,000、据付費$5,000を合計します。

取得原価 = $100,000 + $3,000 + $5,000 = $108,000

従業員研修費と広告宣伝費は、原則として取得原価に含めません。

6. 英文読解で押さえたい重要表現

有形固定資産の取得原価に関する問題では、次の英語表現を覚えておきましょう。

英語表現意味
Initial cost当初の取得原価
Purchase price購入価格
Directly attributable costs直接帰属可能な支出
Intended use意図された使用目的
Ready for use使用可能な状態
Installation costs据付費
Staff training costs従業員研修費
General administrative overheads一般管理費
Dismantling and restoration costs撤去・原状回復費用
Carrying amount帳簿価額

特に、directly attributable は「直接帰属可能な」という意味で、取得原価に含める支出を判断する際の重要表現です。

また、bringing the asset to the location and condition necessary for it to be capable of operating in the manner intended by management は、「経営者が意図した方法で稼働できるよう、必要な場所および状態に資産を整えること」を意味します。少し長い表現ですが、取得原価の範囲を理解するうえで重要です。

7. 追加問題:取得原価に含める支出はどれか

Question

Which of the following costs should generally be included in the cost of an item of property, plant and equipment under IAS 16?

(A) Staff training costs incurred to operate the asset

(B) Advertising costs for a new product

(C) Initial delivery and handling costs directly attributable to the asset

(D) General administrative overheads

正解:(C)

解説

IAS 16では、資産を意図した方法で稼働できる状態にするための直接帰属可能な支出を取得原価に含めます。初期の運送費・荷役費はその代表例です。

一方、従業員研修費、広告宣伝費、一般管理費は、原則として取得原価に含めません。

8. まとめ

有形固定資産の取得原価の決定では、購入代金だけでなく、資産を使用可能な状態にするための直接帰属可能な支出を把握することが重要です。

  • 有形固定資産は英語で Property, Plant and Equipment(PPE)。
  • 当初認識時は、原則として取得原価で測定する。
  • 運送費・据付費・一定の試運転費などは、取得原価に含まれる。
  • 従業員研修費・広告宣伝費・一般管理費などは、原則として費用処理する。
  • 一定の撤去・原状回復義務に関する当初見積額も取得原価に含まれる。

公認会計士試験の英語問題では、directly attributable costs や intended use などの表現を手がかりに、各支出を取得原価に含めるべきか判断できるようにしておきましょう。

参考資料: IFRS Foundation, IAS 16 Property, Plant and Equipment

IAS 16 Property, Plant and Equipment(IFRS Foundation公式ページ)

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