【公認会計士試験・英語対策】収益認識 ― 履行義務の充足による収益の認識(一定期間にわたる充足と一時点での充足)

履行義務 財務会計論16 - 収益認識

1. 履行義務の充足と収益認識

収益認識(Revenue Recognition)では、企業が顧客との契約に基づいて約束した財又はサービスを移転したときに、収益を認識します。

IFRS第15号(IFRS 15: Revenue from Contracts with Customers)では、企業は履行義務(Performance Obligation)を充足した時に、又は充足するにつれて収益を認識すると定めています。

ここで重要なのは、履行義務の充足が次の2つに分類されるという点です。

  1. 一定の期間にわたる履行義務の充足(Performance Obligations Satisfied Over Time)
  2. 一時点での履行義務の充足(Performance Obligations Satisfied at a Point in Time)

例えば、企業が顧客に建物を建設するサービスを提供する場合、工事の進捗に応じて収益を認識することがあります。一方、商品を販売する場合には、通常、商品に対する支配が顧客に移転した時点で収益を認識します。

このように、収益を認識する時期は、企業がどのような財又はサービスを提供しているか、また、顧客に対する支配の移転がどのように行われるかによって異なります。

重要英文

An entity recognizes revenue when or as it satisfies a performance obligation by transferring a promised good or service to a customer.

企業は、約束した財又はサービスを顧客に移転することによって履行義務を充足した時に、又は充足するにつれて、収益を認識します。

重要表現:

  • satisfy a performance obligation:履行義務を充足する
  • when or as:~した時に、又は~するにつれて
  • transfer:移転する
  • promised goods or services:約束した財又はサービス

特に、when or as という表現が重要です。

whenは一時点での充足、asは一定の期間にわたる充足を理解するうえで重要な表現です。

2. 一定の期間にわたり充足される履行義務(Over Time)

IFRS第15号では、一定の期間にわたり顧客に財又はサービスの支配が移転する場合、履行義務は一定の期間にわたり充足されると考えます。

この場合、企業は履行義務の充足に係る進捗度(Progress Towards Complete Satisfaction of a Performance Obligation)を測定し、その進捗度に応じて収益を認識します。

重要なのは、企業が契約上の義務を完全に履行するまで収益を認識しないのではなく、履行の進捗に応じて収益を認識するという点です。

2-1. 一定期間にわたり充足される3つの要件

IFRS第15号第35項では、次の3つの要件のうち、いずれか1つを満たす場合に、履行義務は一定の期間にわたり充足されると定めています。

要件①:顧客が企業の履行による便益を同時に受け取り、消費する場合

The customer simultaneously receives and consumes the benefits provided by the entity’s performance as the entity performs.

企業が履行するにつれて、顧客がその履行によって提供される便益を同時に受け取り、消費する場合です。

例えば、清掃サービスや警備サービスなどが該当します。

企業が清掃サービスを提供している間、顧客はそのサービスの便益を受けています。

また、企業がこれまでに提供したサービスを、別の企業が引き継いで再度提供する必要は通常ありません。

したがって、清掃サービスは一般的に一定の期間にわたり充足される履行義務に該当します。

重要表現:

  • simultaneously:同時に
  • receive and consume:受け取り、消費する
  • benefits:便益
  • as the entity performs:企業が履行するにつれて

要件②:企業の履行によって生じる資産を顧客が支配する場合

The entity’s performance creates or enhances an asset that the customer controls as the asset is created or enhanced.

企業が履行することによって資産が生じる、又は既存の資産の価値が増加し、その資産が生じるにつれて、又は価値が増加するにつれて、顧客がその資産を支配する場合です。

例えば、顧客が所有する土地に建物を建設する契約を考えてみましょう。

建設会社が工事を進めるにつれて建物の価値が増加しますが、その建設中の建物は顧客が支配しています。

この場合、建設会社の履行義務は一定の期間にわたり充足されることになります。

重要表現:

  • create an asset:資産を生み出す
  • enhance an asset:資産の価値を高める
  • control an asset:資産を支配する
  • as the asset is created:資産が生み出されるにつれて

要件③:企業にとって他に転用できない資産が生じ、履行済み部分について対価を受け取る強制力のある権利を有する場合

The entity’s performance does not create an asset with an alternative use to the entity, and the entity has an enforceable right to payment for performance completed to date.

この要件は、少し複雑ですが、試験で重要なポイントです。

次の2つの条件を両方満たす必要があります。

  1. 企業の履行によって生じる資産が、企業にとって別の用途に転用できないこと(No Alternative Use)。
  2. 企業が履行を完了した部分について、対価を受け取る強制力のある権利を有していること(Enforceable Right to Payment)。

例えば、顧客の特殊な仕様に合わせた専用設備を製造する契約を考えてみましょう。

その設備が特定の顧客向けに設計されており、他の顧客に販売することが実質的に困難である場合、企業にとって別の用途に転用できない資産に該当する可能性があります。

さらに、顧客の都合で契約が途中解約された場合でも、企業が履行済み部分に対する対価を受け取る強制力のある権利を有していれば、この要件を満たす可能性があります。

重要なのは、単に特注品であるというだけでは不十分であり、履行済み部分について対価を受け取る権利も必要であるという点です。

重要表現:

  • alternative use:別の用途
  • have an alternative use:別の用途に転用できる
  • enforceable right:強制力のある権利
  • payment:支払い、対価
  • performance completed to date:現時点までに完了した履行

2-2. 一定期間にわたる収益認識の具体例

企業Aは、顧客Bから総額1,000万円の建設工事を受注しました。

この工事は顧客が支配する土地に建物を建設するものであり、一定期間にわたる履行義務の要件を満たしています。

決算日時点で工事の進捗度が40%である場合、収益認識額は次のようになります。

取引価格:1,000万円

進捗度:40%

収益認識額:

1,000万円 × 40% = 400万円

したがって、企業Aは決算日時点で400万円の収益を認識します。

このように、一定期間にわたる履行義務では、履行の進捗度に応じて収益を認識します。

2-3. 進捗度の測定方法(Methods of Measuring Progress)

一定期間にわたり履行義務を充足する場合、企業は履行義務の充足に係る進捗度を測定する必要があります。

IFRS第15号では、進捗度を測定する方法として、主に次の2つが示されています。

① アウトプット法(Output Method)

顧客に移転した財又はサービスの価値を直接的に測定する方法です。

例えば、次のような指標を使用します。

  • 完成した作業の調査結果
  • 達成した成果
  • 経過時間
  • 提供したサービスの数量

建設工事であれば、完成した工事部分の割合などが考えられます。

② インプット法(Input Method)

履行義務を充足するために投入した資源を基礎として進捗度を測定する方法です。

例えば、次のような指標を使用します。

  • 発生した原価
  • 投入した労働時間
  • 経過した時間
  • 使用した機械の稼働時間

建設工事では、発生した原価を基礎として進捗度を計算する方法がよく用いられます。

例えば、総見積原価が800万円であり、決算日までに400万円の原価が発生している場合、進捗度は50%となります。

ただし、発生原価のすべてが履行の進捗を適切に表すとは限りません。異常な仕損や、まだ移転していない財に関する原価などは、進捗度の測定から除外する必要がある場合があります。

重要英文:

An entity recognizes revenue over time by measuring the progress towards complete satisfaction of a performance obligation.

企業は、履行義務の完全な充足に向けた進捗度を測定することによって、一定の期間にわたり収益を認識します。

重要表現:

  • measure progress:進捗度を測定する
  • complete satisfaction:完全な充足
  • output method:アウトプット法
  • input method:インプット法
  • costs incurred:発生した原価

3. 一時点で充足される履行義務(At a Point in Time)

一定の期間にわたる履行義務の3つの要件のいずれも満たさない場合、履行義務は一時点で充足されるものとして処理します。

この場合、顧客が約束した財又はサービスに対する支配(Control)を獲得した時点で収益を認識します。

例えば、企業が一般的な商品を顧客に販売する場合、通常は商品に対する支配が顧客に移転した時点で収益を認識します。

3-1. 支配の移転(Transfer of Control)

IFRS第15号では、顧客が資産の使用を指図し、当該資産から残りの便益のほとんどすべてを獲得する能力を有するとき、顧客が資産を支配していると考えます。

重要英文:

Control of an asset refers to the ability to direct the use of, and obtain substantially all of the remaining benefits from, the asset.

資産に対する支配とは、その資産の使用を指図し、当該資産から残りの便益のほとんどすべてを獲得する能力を意味します。

重要表現:

  • control of an asset:資産に対する支配
  • ability to:~する能力
  • direct the use of:~の使用を指図する
  • substantially all:ほとんどすべて
  • remaining benefits:残りの便益

3-2. 支配の移転を判断するための5つの指標

IFRS第15号第38項では、顧客が資産に対する支配を獲得した時点を判断するため、次のような指標を考慮します。

① 企業が資産に対する対価を受け取る現在の権利を有していること

The entity has a present right to payment for the asset.

企業が顧客に対して、資産の対価を請求する現在の権利を有していることです。

② 顧客が資産の法的所有権を有していること

The customer has legal title to the asset.

顧客が資産の法的所有権を取得していることです。

③ 企業が資産の物理的占有を顧客に移転したこと

The entity has transferred physical possession of the asset to the customer.

商品などの物理的な引渡しが行われていることです。

④ 顧客が資産の所有に伴う重大なリスクと経済価値を有していること

The customer has the significant risks and rewards of ownership of the asset.

顧客が資産の所有に伴う重大なリスクを負い、経済価値を享受していることです。

⑤ 顧客が資産を検収したこと

The customer has accepted the asset.

顧客が商品などを受け入れ、検収していることです。

これらは支配の移転を判断するための指標であり、必ずしもすべてを満たす必要があるわけではありません。また、これら以外の状況も考慮されます。

3-3. 一時点で収益を認識する具体例

企業Aは、顧客Bに商品を100万円で販売しました。

商品は12月20日に顧客Bに引き渡され、顧客Bが商品に対する支配を獲得しました。

代金の支払日は翌年1月31日です。

この場合、企業Aは12月20日に100万円の収益を認識します。

代金の入金が翌年であっても、顧客への支配の移転が12月20日に発生しているためです。

この事例では、収益の認識時点と現金の回収時点が異なることに注意してください。

重要英文:

If a performance obligation is not satisfied over time, revenue is recognized at the point in time when control of the promised good or service transfers to the customer.

履行義務が一定の期間にわたり充足されない場合、約束した財又はサービスに対する支配が顧客に移転する時点で収益が認識されます。

重要表現:

  • at the point in time:その時点で
  • transfer to the customer:顧客に移転する
  • promised good or service:約束した財又はサービス

4. 一定期間にわたる充足と一時点での充足の比較

ここまでの内容を整理しましょう。

比較項目一定期間にわたる充足一時点での充足
英語Over TimeAt a Point in Time
収益認識の時期履行の進捗に応じて支配が移転した時点
主な判断基準3つの要件のいずれかを満たす3つの要件をいずれも満たさない
収益認識方法進捗度に基づく支配の移転時点に基づく
代表例清掃サービス、建設工事など一般的な商品販売など

特に重要なのは、サービスの提供だから必ず一定期間にわたって収益を認識する、というわけではないことです。

例えば、あるコンサルティング契約では、サービスの提供につれて顧客が便益を受け取るため、一定期間にわたり収益を認識する場合があります。

一方、特定の成果物を完成させて一括で顧客に引き渡す契約では、一定期間にわたる充足要件を満たさず、一時点で収益を認識する場合もあります。

財又はサービスの名称だけで判断するのではなく、契約条件と支配の移転の実態を確認することが重要です。

5. 公認会計士試験対策:重要英単語・表現

今回のテーマで重要となる英単語を整理します。

英語発音記号品詞日本語
performance/pərˈfɔːrməns/名詞履行
obligation/ˌɑːblɪˈɡeɪʃən/名詞義務
satisfy/ˈsætɪsfaɪ/動詞充足する
transfer/trænsˈfɜːr/動詞移転する
simultaneously/ˌsaɪməlˈteɪniəsli/副詞同時に
consume/kənˈsuːm/動詞消費する
enhance/ɪnˈhæns/動詞高める
alternative/ɔːlˈtɜːrnətɪv/形容詞・名詞代替の・代替案
enforceable/ɪnˈfɔːrsəbl/形容詞強制可能な
progress/ˈprɑːɡres/名詞進捗
measure/ˈmeʒər/動詞測定する
output/ˈaʊtpʊt/名詞アウトプット
input/ˈɪnpʊt/名詞インプット
incur/ɪnˈkɜːr/動詞(費用などを)発生させる
substantially/səbˈstænʃəli/副詞実質的に、ほとんど
possession/pəˈzeʃən/名詞占有
ownership/ˈoʊnərʃɪp/名詞所有権
acceptance/əkˈseptəns/名詞受入れ、検収

特に覚えておきたい会計英語

  • Performance obligation:履行義務
  • Satisfaction of a performance obligation:履行義務の充足
  • Revenue recognition over time:一定期間にわたる収益認識
  • Revenue recognition at a point in time:一時点での収益認識
  • Transfer of control:支配の移転
  • No alternative use:他に転用できないこと
  • Enforceable right to payment:対価を受け取る強制力のある権利
  • Measure of progress:進捗度の測定
  • Output method:アウトプット法
  • Input method:インプット法

6. 公認会計士試験対策:英文読解問題

今回学んだ会計知識と英語表現を使って、確認問題に取り組みましょう。

Question 1:一定期間にわたる収益認識

Under IFRS 15, which of the following conditions would result in a performance obligation being satisfied over time?

A. The customer obtains legal title to the asset only upon final delivery.

B. The customer simultaneously receives and consumes the benefits of the entity’s performance as the entity performs.

C. The entity receives full payment before transferring any goods or services.

D. The entity completes its performance obligation before the customer obtains control of the asset.

正解:B

解説:

企業が履行するにつれて、顧客がその履行による便益を同時に受け取り、消費する場合は、一定期間にわたり履行義務が充足されます。

例えば、清掃サービスや日常的な保守サービスなどが該当します。

Aの法的所有権の移転は、一時点での支配の移転を判断する指標の一つです。

Question 2:他の用途への転用可能性

Under IFRS 15, a performance obligation is satisfied over time if the asset being created has no alternative use to the entity and:

A. The customer has already paid the full transaction price.

B. The entity has an enforceable right to payment for performance completed to date.

C. The asset has been physically delivered to the customer.

D. The entity has completed all contractual obligations.

正解:B

解説:

一定期間にわたる充足の3つ目の要件では、他に転用できない資産が生じることに加え、履行済み部分について対価を受け取る強制力のある権利が必要です。

単に特注品を製造しているというだけでは、この要件を満たしません。

Question 3:進捗度の測定

Which of the following is an example of an input method for measuring progress towards satisfaction of a performance obligation?

A. Measuring the number of units delivered to the customer.

B. Measuring the number of completed milestones.

C. Measuring costs incurred relative to total expected costs.

D. Measuring the number of products accepted by the customer.

正解:C

解説:

Input Methodは、履行のために投入した資源を基礎として進捗度を測定する方法です。

発生原価(Costs Incurred)を総見積原価と比較する方法は、代表的なインプット法です。

一方、納品数量や完成した作業量などを基礎とする方法は、アウトプット法に該当します。

Question 4:一時点での収益認識

Which of the following is an indicator that control of an asset has transferred to a customer?

A. The entity has incurred production costs.

B. The entity has transferred physical possession of the asset to the customer.

C. The entity has signed an employment contract.

D. The entity has started manufacturing the asset.

正解:B

解説:

顧客への物理的占有の移転(Transfer of Physical Possession)は、支配の移転を判断する指標の一つです。

ただし、物理的な引渡しが行われたという事実だけで、常に支配の移転が確定するわけではありません。契約条件や他の指標も考慮する必要があります。

Question 5:収益認識の基本的な考え方

An entity provides maintenance services to a customer over a period of 12 months. The customer simultaneously receives and consumes the benefits of the services as they are provided. How should the entity recognize revenue?

A. Only when the contract expires.

B. When the customer pays the full amount.

C. Over the 12-month service period.

D. When the entity signs the contract.

正解:C

解説:

顧客がサービスの提供と同時に便益を受け取り、消費しているため、履行義務は一定期間にわたり充足されます。

したがって、サービスの提供期間にわたって収益を認識します。

7. まとめ

今回は、収益認識における履行義務の充足と、収益を認識する時点について解説しました。

特に重要なのは、次のポイントです。

  1. 企業は履行義務を充足した時に、又は充足するにつれて収益を認識する。
  2. 一定期間にわたる充足には、3つの要件があり、そのうち1つを満たせばよい。
  3. 3つ目の要件では、他の用途に転用できない資産であることと、履行済み部分について対価を受け取る強制力のある権利が必要である。
  4. 一定期間にわたり充足される場合、進捗度に基づいて収益を認識する。
  5. 進捗度の測定方法には、アウトプット法とインプット法がある。
  6. 一時点で充足される場合、顧客が財又はサービスに対する支配を獲得した時点で収益を認識する。
  7. 支配の移転を判断する際には、法的所有権、物理的占有、対価を受け取る権利などの指標を考慮する。

公認会計士試験の英語問題では、会計処理の内容を理解するだけでなく、英文で示された要件を正確に読み取ることが重要です。

特に、次の英文表現は繰り返し読んでおきましょう。

  • satisfies a performance obligation over time:一定期間にわたり履行義務を充足する
  • simultaneously receives and consumes the benefits:便益を同時に受け取り消費する
  • creates or enhances an asset:資産を生み出す、又は価値を高める
  • no alternative use:他の用途に転用できない
  • enforceable right to payment:対価を受け取る強制力のある権利
  • transfer of control:支配の移転
  • at a point in time:一時点で

このテーマは、収益認識の5つのステップの中でも特に重要な部分です。3つの要件と支配の移転の判断指標を、具体的な取引例と結び付けて理解しておきましょう。

タイトルとURLをコピーしました