【公認会計士試験・英語問題】有価証券

有価証券 財務会計論06 - 流動資産

1. 有価証券とは何か(Securities)

有価証券とは、株式や債券など、財産的な権利を表す証券をいいます。企業は、余剰資金の運用、取引による利益の獲得、他社との関係維持など、さまざまな目的で有価証券を保有します。

英語では、一般に securities という表現が使われます。株式は shares または stocks、債券は bonds と表現します。

ただし、英語の securities と日本の会計基準における「有価証券」は、法律上・会計上の範囲が必ずしも完全に一致するわけではありません。また、IFRSでは、金融資産の認識・測定について、単に有価証券という名称で分類するのではなく、金融商品としての性質や保有目的などに基づいて会計処理を決定します。

有価証券の主な種類

日本語英語内容
株式Shares / Stocks企業に対する持分を表す金融商品
債券Bonds発行体に対する債権を表す金融商品
国債Government bonds国が発行する債券
社債Corporate bonds企業が発行する債券
投資信託Investment funds投資家から集めた資金を運用する金融商品

株式を保有することで、配当を受け取ったり、株価の上昇による利益を得たりする可能性があります。一方、債券では、契約条件に従って利息を受け取り、満期に元本の返済を受けることが一般的です。ただし、いずれも投資損失や信用リスクが存在します。

2. 有価証券の保有目的と分類

有価証券の会計処理を理解するうえで重要なのは、企業がどのような目的で保有しているかという点です。

日本基準では、金融商品会計上、有価証券を保有目的に応じて、売買目的有価証券、満期保有目的の債券、子会社株式・関連会社株式、その他有価証券などに分類します。

分類英語での表現例主な目的
売買目的有価証券Securities held for trading短期的な価格変動による利益の獲得
満期保有目的の債券Bonds held to maturity満期まで保有し、契約上のキャッシュ・フローを受け取ること
子会社株式・関連会社株式Investments in subsidiaries / associates支配や重要な影響力の行使
その他有価証券Other securities上記以外の多様な保有目的

これらは日本基準で用いられる代表的な分類です。特に、子会社株式・関連会社株式については、個別財務諸表と連結財務諸表で会計処理が異なる場合があるため、注意が必要です。

また、IFRS第9号では、日本基準の分類をそのまま使用するわけではありません。金融資産の分類・測定は、主として、金融資産を管理する事業モデルと、契約上のキャッシュ・フローの特性に基づいて決定されます。

3. 有価証券の評価と会計処理

有価証券の評価では、取得原価、時価、償却原価などの概念が重要になります。

① 取得原価(Acquisition cost)

取得原価とは、資産を取得するために支払った対価などに基づく金額です。

例えば、ある企業が株式を100万円で取得した場合、取得時には原則として、その金融資産を取得時の測定基準に従って認識します。

英語では、次のように表現できます。

The company acquired shares for JPY 1 million.

(その会社は100万円で株式を取得しました。)

② 公正価値(Fair value)

公正価値とは、測定日において、市場参加者間の秩序ある取引で資産を売却するために受け取る価格などを基礎とする測定額です。

IFRS第9号では、金融資産の分類に応じて、公正価値で測定するものと償却原価で測定するものがあります。

例えば、売買目的で保有する金融資産は、通常、公正価値で測定し、その変動額を純損益に認識します。

The securities are measured at fair value.

(その有価証券は公正価値で測定されます。)

③ 償却原価(Amortised cost)

償却原価は、当初認識額を基礎として、実効金利法による償却や元本の回収などを反映した測定額です。

IFRS第9号では、金融資産を償却原価で測定するために、所定の事業モデル要件と契約上のキャッシュ・フロー要件を満たす必要があります。一般に、契約上のキャッシュ・フローを回収することを目的として保有し、キャッシュ・フローが元本および元本残高に対する利息の支払いのみで構成される金融資産が対象となります。

したがって、すべての債券が自動的に償却原価で測定されるわけではありません。

④ その他の包括利益を通じた公正価値測定(FVOCI)

IFRS第9号には、金融資産の公正価値の変動をその他の包括利益(Other Comprehensive Income:OCI)に認識する分類があります。

一定の要件を満たす負債性金融商品では、契約上のキャッシュ・フローの回収と売却の両方によって目的を達成する事業モデルに基づいて保有する場合、FVOCIに分類されることがあります。

また、一定の要件を満たす非売買目的の資本性金融商品については、当初認識時に公正価値変動をOCIに表示する選択が認められます。ただし、この選択には要件があり、負債性金融商品と資本性金融商品では会計処理も異なります。

⑤ 純損益を通じた公正価値測定(FVTPL)

FVTPLは、Fair Value Through Profit or Loss の略で、「純損益を通じた公正価値測定」を意味します。

この分類では、公正価値の変動を原則として純損益に認識します。売買目的の金融資産などが代表例です。

ここで重要なのは、流動資産・非流動資産という表示上の分類と、償却原価・FVOCI・FVTPLという測定上の分類は別の概念であるという点です。有価証券が流動資産に分類されるかどうかは、財務諸表上の表示ルールに従って判断します。

IFRS第9号の分類・測定については、IFRS Foundationの公式解説も参照してください。

4. 重要英単語・会計用語

英単語・表現品詞・意味会計上のポイント
security / securities名詞:有価証券securities は複数形でよく用いられる
share / stock名詞:株式英米で用法に違いがある
bond名詞:債券債務性の金融商品
investment名詞:投資投資行為や投資資産を表す
acquire動詞:取得する資産・企業などを取得する
hold動詞:保有するhold securities で有価証券を保有する
maturity名詞:満期債券などの契約上の満期
fair value名詞:公正価値公正価値測定の基礎となる金額
amortised cost名詞:償却原価IFRSで用いられる測定区分
gain名詞:利益・利得gain on sale は売却益
loss名詞:損失loss on sale は売却損
dividend名詞:配当株式投資から得られる収益の一つ
interest名詞:利息債券などから生じる利息
business model名詞:事業モデルIFRS第9号の金融資産分類に関係する
cash flow名詞:キャッシュ・フロー現金の流入・流出

5. 英文読解:有価証券の分類と測定

次の英文を読んで、会計上の意味を理解しましょう。

英文

Under IFRS 9, financial assets are classified based on an entity’s business model for managing the assets and the contractual cash flow characteristics of the financial assets. Depending on the applicable classification, a financial asset may be measured at amortised cost or at fair value through profit or loss or other comprehensive income.

日本語訳

IFRS第9号では、金融資産は、企業がその資産を管理する事業モデルと、当該金融資産の契約上のキャッシュ・フローの特性に基づいて分類されます。適用される分類に応じて、金融資産は償却原価、純損益を通じた公正価値、またはその他の包括利益を通じた公正価値で測定されることがあります。

文法・構文の解説

① be classified based on ~

are classified based on an entity’s business model

「企業の事業モデルに基づいて分類される」という意味です。

  • classify A based on B:Bに基づいてAを分類する
  • A is classified based on B:AはBに基づいて分類される

受動態の are classified が使われています。会計基準の説明では、誰が分類するかよりも、どのような基準で分類されるかが重要なため、受動態がよく使われます。

② for managing the assets

business model for managing the assets は、「その資産を管理するための事業モデル」という意味です。

前置詞 for は目的を表し、その後ろに動名詞 managing が続いています。

  • for managing the assets:資産を管理するための
  • for collecting contractual cash flows:契約上のキャッシュ・フローを回収するための

③ depending on ~

Depending on the applicable classification は、「適用される分類に応じて」という意味です。

depending on は、条件や状況によって結果が変わることを表す表現です。会計基準の解説では、分類や取引の性質に応じて会計処理が変わることを説明する際によく用いられます。

④ may be measured at ~

a financial asset may be measured at amortised cost

「金融資産は償却原価で測定されることがある」という意味です。

  • measure A at B:AをBで測定する
  • A is measured at B:AはBで測定される
  • may be measured:測定されることがある

ここでの may は許可だけでなく、適用条件に応じた可能性を表しています。

6. 試験対策:覚えておきたい英文表現

英文日本語訳
The company holds securities for trading purposes.その会社は売買目的で有価証券を保有しています。
The bonds are held to collect contractual cash flows.その債券は契約上のキャッシュ・フローを回収するために保有されています。
The investment is measured at fair value.その投資は公正価値で測定されます。
Changes in fair value are recognised in profit or loss.公正価値の変動は純損益に認識されます。
The company received dividends from its investments.その会社は投資から配当を受け取りました。
The bonds will mature in five years.その債券は5年後に満期を迎えます。

※ recognised は英国式の綴りで、米国式では recognized と書きます。IFRSの英文では英国式の綴りがよく見られます。

7. 確認問題

問題1:用語

次の英文の空欄に入る最も適切な語句を選んでください。

A financial asset measured at fair value through profit or loss is commonly abbreviated as ______.

A. FVOCI
B. FVTPL
C. PPE
D. OCI

正解:B. FVTPL

FVTPL は Fair Value Through Profit or Loss の略です。公正価値の変動を純損益に認識する測定区分を表します。

  • FVOCI:Fair Value Through Other Comprehensive Income
  • PPE:Property, Plant and Equipment
  • OCI:Other Comprehensive Income

問題2:英文読解

次の英文を日本語に訳してください。

The classification of financial assets under IFRS 9 depends on the business model and the contractual cash flow characteristics of the assets.

解答例

IFRS第9号における金融資産の分類は、事業モデルと資産の契約上のキャッシュ・フローの特性によって決まります。

解説

主語は The classification of financial assets under IFRS 9、動詞は depends on です。

depend on A は「Aに依存する」「Aによって決まる」という意味です。ここでは、金融資産の分類が、企業の事業モデルと契約上のキャッシュ・フローの特性によって決まることを表しています。

問題3:会計知識

次の記述が正しければ○、誤っていれば×を選んでください。

「IFRS第9号では、金融資産が流動資産に分類される場合、必ずFVTPLで測定される。」

正解:×

流動資産・非流動資産は財務諸表上の表示に関する分類です。一方、FVTPL、FVOCI、償却原価は金融資産の測定に関する分類です。流動資産に分類される金融資産であっても、適用要件を満たせば、FVTPL以外の方法で測定される場合があります。

8. まとめ

有価証券の会計処理を理解するうえでは、次の3点を押さえておきましょう。

  1. 有価証券の種類と保有目的:株式・債券などの性質と、売買・投資・支配などの目的を理解する。
  2. 分類と測定:日本基準の保有目的別分類と、IFRS第9号の金融資産の分類・測定を混同しない。
  3. 英語表現:securities, fair value, amortised cost, FVTPL, FVOCI, contractual cash flows などの重要語句を英文の中で理解する。

特に公認会計士試験の英語問題では、会計用語を単独で覚えるだけでなく、based on、depending on、be measured at などの表現と組み合わせて読めるようにしておくことが重要です。

参考資料

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